フォトグラファー 小堀 美沙紀さん
女性を撮るフォトグラファーとして活動する小堀美沙紀さん。撮影会で出会った女性たちが、写真を通して「素敵だな」と思える自分の姿に出会い、喜んでいく。その姿を見つめ続けるなかで生まれたのが、一般の女性たちがランウェイを歩く舞台づくりでした。カメラというツールを手に、人が美しくなっていく瞬間に寄り添ってきた小堀さんに、その歩みと思いをうかがいました。
「撮る」から、舞台をつくるへ
女性を撮影し始めたのは数年前のこと。大きな撮影会を重ね、これまでに数多くの女性をカメラに収めてきました。撮った写真をSNSのアイコンやプロフィールに使ってくれる人を見て、心のなかでひそかに喜ぶ日々。けれど、オンラインの世界から「写真」という形あるものへと飛び出したとき、小堀さんは強く心を動かされたといいます。
もともと長くダンスに打ち込み、スポットライトを浴びる舞台の楽しさを知っていた小堀さん。「美しくなった姿を体現できる場所をつくれないか」という思いが、一般の女性たちがランウェイを歩く企画へとつながっていきました。芸能人やモデルが歩いて当たり前という常識を、ふつうの女性たちの輝きで塗り替えたい。その願いが舞台の根っこにあります。


自分でつくった「ブロック」を外す
小堀さんの活動には、自身が乗り越えてきた経験が映し出されています。子育て中、「お母さんはこうでなければ」という思い込みにとらわれ、東京へ仕事に行くことにすら強い後ろめたさを感じていたといいます。初めて東京へ向かったのは子どもがまだ幼い頃。日帰りの仕事に行くのにもびくびくしていた自分を、のちに振り返ることになります。
転機は、師と仰ぐ方に「来たらいいじゃん」「なんでダメなの」と問い返されたこと。並べた言い訳の理由が自分でもわからなくなり、これは自分が勝手に決めていた思い込みだったと気づきます。同じように行動を制限してしまう女性は多い――だからこそ、「お母さんでもできることがある」と伝えたい。その共感が、活動の原動力になっています。

一人で抱えず、仲間と渦をつくる
ランウェイの実現に向けては、クラウドファンディングにも挑戦しました。最後の数日でぐっと支援が伸びた手応えを、小堀さんは「渦を巻くようだった」と表現します。平坦な時期にも泥臭く動き続ける姿を誰かが見ていて、ある瞬間に一緒に盛り上がってくれる。その流れを生み出すことに、ずっと心を砕いてきたといいます。
かつては何でも一人でやってしまいがちだったという小堀さん。ヘアメイクや衣装など、自分にできないことはその道のプロに託すことで、より大きなものが生まれると実感しました。「手放したほうが物事はいい方向にいく」。チームで一つの舞台をつくり上げる経験は、ともに歩んだ女性たちの背中も、そっと押していったようです。





