保育・教育の現場では暴力防止の法整備や、日本版DBS制度の義務化に向けた準備が進む。けれど子ども食堂やフリースクールなど、多様な居場所に「具体の運用」をどう根づかせるかは別の難しさが残る。NPO法人きづくは「子どものセーフガーディング共創ラボコンソーシアム」を立ち上げ、4〜5団体に約半年伴走しながら、リスク分析から通報窓口までを整えるプロジェクトに取り組むという。
「制度が動く」ニュースは耳に入りやすい一方で、その次に来るのが、現場の“回し方”問題だったりします。特定非営利活動法人きづくが設立した「子どものセーフガーディング共創ラボコンソーシアム」は、子ども支援の現場に入り込み、セーフガーディングを運用できる形にしていく枠組み。ルールを掲げるだけで終わらせないための、地味だけど大事な工程に光を当てた動きです。

子ども食堂、児童館、フリースクール、放課後児童クラブ。子どもの居場所の選択肢が増えるほど、その場の安心を、だれかの経験や善意だけに頼り続けるのは難しくなっていきます。
背景として、きづくは国内の制度動向にも触れています。近年、日本でも保育・教育現場などでの暴力防止の法整備が進み、日本版DBS制度の義務化に向けた準備も進んでいる。一方で、より包括的に子どもの権利侵害を防ぐ「セーフガーディング」の政策的基盤は未整備だ、という見立ても示されました。制度が前に進むほど、現場には「じゃあ、どう運用する?」という問いが残りやすい。こういうの、地味に助けが必要になるところです。
今回の取り組みは、その“運用の距離”を埋めにいく設計になっています。プロジェクト名は「子どものセーフガーディングにおける社会構造転換プロジェクト―組織変容と制度形成を促す伴走型調査―」。NPO法人きづくが事業全体の進行と調査分析を担い、子ども支援の現場に根差した伴走支援を据える、としています。
伴走の対象として挙げられているのは、子ども食堂や児童館、フリースクール、放課後児童クラブなど。4〜5団体に対して約半年間、リスク分析から、指針・行動規範の策定、通報制度や窓口の設置までを扱う予定です。各団体の文脈に寄り添いながら進めること、そして現場のメンタルモデルの変容や、実装する能力形成を促すボトムアップのアプローチを取ることも明記されています。
個人的に「これ、ちょっと好き」と思ったのは、整備そのものだけで終わらせず、過程を“残す”ところ。伴走を通じて得られた導入時の課題やヒント、成功要因のデータを収集・分析し、実践的な調査報告書としてまとめるとしています。経験が団体の中に閉じず、次の現場に手渡せる形になっていく——この発想は、運用の話が置き去りになりがちな領域ほど効いてきます。
コンソーシアムの狙いとして掲げられているのは、日本でのセーフガーディング普及に向けた「システムチェンジ」を志向し、専門家のプラットフォームを構築すること。背景には、事業体を支える伴走支援の主体(専門家)が不足している、という課題感があります。
体制には、協働メンバーとして認定NPO法人ACEの成田由香子氏、杉山綾香氏、高橋美和子氏の名前が並びます。2024年の「子どもの権利条約フォーラム」で、きづくとパートナー団体が組織の垣根を越えて協働した流れも触れられていました。
なお、記事として気になる点を挙げるなら、プロジェクトの具体的な開始日や、伴走する4〜5団体の団体名、また「採択事業」の採択元は本文上では明記されていません。だからこそ今見えるのは、「制度の横で、運用を編み直す」こと自体をニュースにした、という輪郭。派手さはなくても、現場が回り出すための仕事がきちんと語られているのは、静かに頼もしい出来事です。
出典
- 原題:「子どものセーフガーディング共創ラボコンソーシアム」を設立。子ども食堂やフリースクールなどの子ども支援の現場に伴走する実践モデルを構築するプロジェクトを開始 | 特定非営利活動法人きづくのプレスリリース
- URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000112892.html




