コロナ時代のサロンオーナーに求められること
コロナ禍は、人と触れ合う仕事に、これまでにない問いを突きつけました。東京・戸越銀座でリラクゼーションサロンを営む女性オーナーは、1か月半の休業と再開を経て、「こんな時代に、サロンが本当に提供すべきものは何か」を見つめ直したと言います。リフレクソロジスト(足つぼ療法家)でもある彼女に、その思いを聞きました。
目指すのは「ディズニーランドと同じ感動」
施術は、ただ体をほぐすだけのものではない——。彼女がスタッフにも繰り返し伝えているのは、「施術が終わったあとに、来てよかったと思える“感動”を届けられなければ意味がない」という考えです。「整骨院でもリラクゼーション店でもなく、価値あるものを」。だからこそ、ライバルとして思い描くのは、同じ価格帯で“感動”を売るディズニーランドだと言います。


休業、そして再開の日に流れた涙
緊急事態のなか、彼女はサロンの休業を決断します。人通りの多い商店街にあるからこそ、いったん灯を消すという選択でした。そして1か月半後、営業を再開した日。戻ってきてくれた常連客の姿に、思わず涙がこぼれたそうです。「こんなに待っていてくれたんだ、愛されていたお店だったんだ」。その実感が、「この場所は絶対になくしてはいけない」という覚悟に変わったといいます。
「正しく怖がる」ために、自分でデータを取る
もともと彼女は、薬の研究に携わる科学者でした。過労で倒れた経験から「体だけでなく、心も支えたい」とセラピストの道へ。その背景があるからこそ、大切にしているのが「正しく怖がる」という姿勢です。世の中の空気に流されるのではなく、自分でデータを確かめて判断する。リピート率や指名の数といった店の数字も丁寧に見て、スタッフとの面談では「納得してもらってから提案する」ことを心がけているそうです。

「一人で悩まない」という、これからのテーマ
個人サロンの経営者は、孤独になりがちです。そこで彼女がいま掲げているのが、「一人で悩まない」という言葉。これは来店する人へのメッセージであると同時に、同じように一人で頑張る経営者へのエールでもあります。さらに視線の先にあるのは、医師やカウンセラーなど、体と心に関わる専門家が手を取り合う「多職種連携」。立場を超えてつながるために必要なのは、信頼関係と、共通の言葉だと語ってくれました。





