数字と取材のあいだにある「薄い膜」を、困りごとからほどく。CCCマーケティング総研×主婦の友社の新しい組み合わせ

定量・定性データに、編集者の段取りを重ねる。起点は「女性の暮らしの困りごと」。セッションという形で、企業の企画やデザインの“言葉にならない部分”を扱おうとしている。

CCCマーケティング総合研究所(CCCマーケティング総研)と主婦の友社が、女性の暮らしにある「困りごと」からインサイトを読み解くマーケティングサービスを動かし始めた。両社の定量データ・定性データに、編集者のディレクションを掛け合わせ、セッションを開くという設計だ。好きポイントを一つだけ挙げるなら、「困りごと」から始めるところ。こういうの、地味に迷子防止になる。

「女性向け」を一言でまとめるのが難しい——そんな実感が、あちこちで聞こえてくる。

購買データや意識調査のような定量分析は、変化の兆しをつかむのが得意。一方で、そこから先の「なぜそうなったのか」「どう言えば伝わるのか」は、数字だけだと決め切れない場面が残る。今回の取り組みは、その“間”を、編集の手つきで扱う方向に寄せている。

CCCマーケティング総研と主婦の友社が進めるのは、女性の暮らしにおける「困りごと」からインサイトを読み解くセッション。両社が持つ定量データ・定性データに、編集者によるディレクションを重ねるとしている。企業側のニーズとして示されているのは、変化する女性のニーズを把握したいこと、そしてサービス・企画・デザインに女性目線を入れたいこと。

ここで面白いのが、素材の質感がそもそも違う二者を、同じ机に載せようとしている点だ。

CCCマーケティング総研(名称:CCCマーケティング総合研究所)は、社会や生活様式、生活者の行動・意識の変化、世代・地域の特性把握などに、大学や研究機関とも連携しながら取り組んできたという組織。設立は2020年7月21日で、所長は新橋実。2021年9月には「ソーシャルリスニング」の販売を、2021年10月にはCCCマーケティング在籍の5名による「生活者の声を伝えるパートナー」が企業と生活者の本音をつなぐコンサルティングサービスを動かしている。データや声を“観測して終わり”にしない路線が、ここでも見える。

一方の主婦の友社は、創業から100年以上、雑誌・書籍・WEB媒体で、料理、生活、育児、美容、健康などのコンテンツを作ってきた。子どもからシニア層まで幅広い年齢層を扱い、年間400点近い新刊書籍を刊行しているという。またWEB編集者は一人あたり年間600件以上取材する。困りごとを「言える形」にしていく体力は、この数字だけでも想像がつく。

両社はこれまで、食に関わる小売・流通や外食企業に向けて、女性向けの商品開発やVMDなどの企画支援をしてきた。今回の枠組みでは、食に加えて日用品メーカーや小売など、日本全国の企業を対象に、商品開発・サービス企画・コミュニケーション策定など、マーケティング戦略まで広く伴走するとしている。

公開されている事例としては、在宅ワークなどコロナ禍で新たに発生した「ママたちの困りごと」を調査し、CCCマーケティングのホームページで内容を読める(https://www.cccmk.co.jp/thinktanks/column-29)。この事例セッションでは、CCCマーケティング総研の「生活者意識調査」や食のトレンド分析といった定量分析で、コロナ禍で変化した暮らしのシーンを特定し、主婦の友社の編集者が把握する新たな困りごとをアウトプットしてインサイトを分析したという。テーマとして挙げられている生活シーンは、料理、食事、家事、趣味、習慣ケアなど。

なお、PR TIMESに掲載された資料(見出しではVポイントマーケティング株式会社)から読み取れる範囲では、サービスの正式名称、具体的な開始日、セッションの日時や場所(オンライン・オフライン含む)、料金や契約形態、参加条件などは明記されていない。気になる人は、情報が追加されるかどうかを待つことになりそうだ。

データは大きな流れを照らす。取材は、いま起きている小さな引っかかりを拾う。その二つを「困りごと」起点で同じ場に集めて、セッションでほどいていく——この段取りが見えたのが、今回いちばんの読みどころだった。生活者から預かったデータと、日々の取材で集まる言葉。別々に置くより、同じ机で混ぜたほうが、見えるものが増えることってある。

出典

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