白川疏水と比叡山をのぞむ、1927年生まれのヴォーリズ建築。100年を前に、修理と記念イベントの準備が同時に進んでいます。
忙しい日々ほど、窓の外の景色や、手入れの行き届いた空間の静けさにふっと助けられる瞬間があるものです。京都で白川疏水と比叡山を臨む洋館「駒井家住宅」は1927年に建てられ、まもなく100年の時間をまとおうとしています。その節目に向けて、修理と100周年のための動きが、いま一本の線としてつながりはじめました。

「文化財」と聞くと、ガラスケースの向こうにある“見上げるもの”を想像しがちです。けれど駒井家住宅は、まず景色の気配から入ってくる家なんですよ。白川疏水の水の流れと、比叡山の稜線に、その日の光が重なるだけで、建物がすっと「暮らしの器」に戻っていく感じがあります。
この住宅が建てられたのは1927年で、設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ率いるヴォーリズ建築事務所。住まい手は遺伝学者で京都大学名誉教授の駒井卓博士でした。学者の住まい、と言い切ってしまうと少し硬いのですが、生活と研究が同じ屋根の下で一緒に呼吸していた時間を思うと、家の輪郭がやわらかく見えてきます。

敷地に立つのは、主屋・付属屋・離れ・温室の4棟です。一棟で完結する家というより、用途や過ごし方の層が重なって「住まい」になっていくんだ、と構成そのものが語っているようにも感じます。離れや温室があるだけで、季節の手触りや時間の余白の持ち方まで、家の中に入り込んでくるんです。
1998年、駒井家住宅は京都市指定文化財に指定されました。価値が公的に言葉になるのはうれしい一方で、守り続ける現実も一緒にやって来ます。さらに2002年には公益財団法人日本ナショナルトラストへ寄贈され、以降は一般公開やイベントによる活用などが続いてきました。「閉じて保存する」より、「開いて使いながらつなぐ」ほうへ、家の時間が進んできたんです。

そして2027年、建物は100年という区切りを迎えます。これに合わせて立ち上がったのが、「100年続くヴォーリズ建築を未来につなぐ『駒井家住宅100周年プロジェクト』」です。100周年を記念するイベントや、建物の修理工事などを重ねて進めていく計画で、集まった資金はプロジェクトの事業費として、たとえば離れの修理工事費や100周年記念イベントの実施などに充てられる予定だそうです。
こうした「手入れ」の話は、どうしても数字の話にもなります。クラウドファンディングは株式会社CAMPFIRE運営の「CAMPFIRE」で行われていて、期間は2026年1月28日(水)12時から2026年3月25日(水)23時まで、目標金額は200万円。プロジェクトページは https://camp-fire.jp/projects/915790/view です。リターンには、駒井家住宅のポストカードセット+招待券(10,000円)や年間入館券(50,000円)、ペーパークラフト模型(完成品70,000円/組立品80,000円)、離れ修理工事終了後のリニューアルオープンイベントへの招待(100,000円)などが並びます。支える入口が「寄付」一択ではなく、家の空気をそっと持ち帰るような選び方も用意されているのが、いまの形なんだと思います。

この動きを受け止めている公益財団法人日本ナショナルトラストは、1968年12月25日に英国のThe National Trustを範として設立された団体です。美しい自然環境や貴重な文化財・歴史的環境を保全し、利活用しながら後世に継承していくことを目的にしていて、その考え方が駒井家住宅の歩みともよく噛み合っています。建物そのものの価値だけではなく、「使われ続ける場」をどう残すかという視点が、プロジェクトの芯にあるのかもしれません。
家が歳を重ねるほど、必要になるのは大げさな言葉ではなく、木や漆喰や金物に触れる手の数なのだと思うんです。白川疏水のきらめきが窓辺に落ち、比叡山の輪郭が遠くでぶれない日が、これからも同じように繰り返されていく。その「当たり前」は、誰かの静かな仕事で支えられているんですよね。
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出典
- 原題:【残り1週間】100年続くヴォーリズ建築を未来につなぐ「駒井家住宅100周年プロジェクト」|CAMPFIREでクラウドファンディング実施中! – 公益財団法人日本ナショナルトラストのプレスリリース
- URL:https://www.value-press.com/pressrelease/371364





