寄付という言葉には、少し身構える響きがあります。いいことだとわかっていても、手続きがあるのかな、金額を決めるのかな、どこへ届くのかなと考えているうちに、日常の外へ押し出されてしまうことがあります。
茨城県鉾田市の深作農園に登場した寄付ガチャ「ベリー9ゅん❣」は、その入口をかなり軽く作っています。2026年3月5日から、深作農園の屋根付きエリアに設置されると発表されました。NPO、農園、企業4社の協働で生まれた仕組みとされています。
ボタンを押す、という始め方
体験の入口はシンプルです。価格は1回1,000円(税込)で、案内されている最初のステップは「ボタンを押す」。コイン投入口や回転操作はないと説明されています。ガチャという言葉の楽しさは残しつつ、操作のわかりやすさを優先しているのが印象的です。
全カプセルに入っている基本商品は、株式会社ブルーム(BLOOM)製の「高級いちごスクイーズ」です。いちごの香り付き、低反発の触感、ボールチェーン付きと説明され、市場価格は1,000円の商品だと記載されています。
通常商品は全9色で、それぞれに運気テーマが割り当てられています。黄色は金運、紫は高貴運、白は浄化運、青は知性運、オレンジは縁結び運、緑は健康運、黒は魔除け運、赤は勝負運、ピンクは恋愛運。占いとして強く受け止めるというより、色を選ぶ楽しさを添える仕掛けとして読むと、ちょうどよい距離感かもしれません。
100円の行き先を見えるようにする
購入金額の10%にあたる100円は、寄付として使われるとされています。使い道は、地域駄菓子屋を広く知ってもらうための広報活動資金と、地域駄菓子屋の運営支援です。ガチャの楽しさだけで終わらず、100円の行き先が明記されているところが、この企画の芯になります。
カプセル内の説明POPにはQRコードがあり、高校生2名が生成AIで開発した「きゅん運勢診断」と、デジタルお守りの壁紙を1日1回取得できるとも案内されています。手元に残るスクイーズと、スマートフォンに残る壁紙。小さな体験が、物と画面の両方にまたがっています。
また、ごくまれにカプセルへ「鍵」が入っていることがあり、その鍵で開く“大当たりBOX”も用意されているとされています。鍵が当たると深作農園の賞品を入手できるとのことですが、具体的な中身や確率は参照情報からは確認できませんでした。期待をあおりすぎず、そういう要素もある、くらいに受け止めるのがよさそうです。
この仕組みのおもしろさは、寄付を大げさな行為にしないところにあります。農園に来て、屋根のある場所でボタンを押し、いちごのスクイーズを受け取り、100円が地域駄菓子屋の支援へ向かう。軽い体験の中に、寄付先が見える線を一本通す。深作農園の「ベリー9ゅん❣」は、そのくらいの日常に近い社会貢献として設計されているように見えます。





