白浜のケニア号に、音で見つけるサファリ体験が加わった

同じ景色でも、耳から入る情報が変わると、見え方まで少し変わります。動物を眺めるだけでは気づかなかった本能や能力に、ガイドの声がそっと線を引いてくれる。サファリ列車に音の入口が加わると、体験はただの移動ではなくなります。

和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドでは、2026年3月21日から、サファリワールドを走る「ケニア号」に立体音響システムを導入し、「サファリ探検!ディスカバリーケニア号」として提供すると発表されました。列車型の専用車に乗り、立体音響のガイドを聴きながらサファリワールドを一周する体験です。

昼と夕方以降で、別のテーマを聴く

今回のガイドは2種類あります。昼に聴けるガイドは「動物たちのひみつを探す」をテーマに、本能や能力に焦点を当てる内容です。ナイト営業期間限定で夕方以降に聴けるガイドは、「いのちのつながり」をテーマに進むとされています。

同じルートを走っていても、昼と夕方以降で見どころの置き方が変わる。ここが、このリニューアルの面白いところです。動物の姿を見て終わるのではなく、どんな視点で眺めるかまで選べるようになります。

1回あたりの定員は115名。料金は1名800円で、4歳以上が有料です。予約は事前にTerravieで行うほか、当日はケニア号乗場のサファリチケットカウンターでも受け付けると案内されています。運行時間は日程により異なり、詳細はTerravieで案内されるとのことです。

無料のケニア号も残る、という安心感

「ディスカバリーケニア号」の実施以外の時間帯には、従来の無料のケニア号も運行するとされています。ここは大事な点です。新しい有料体験にすべて置き換えるのではなく、無料で巡る選択肢も残る。来園者は、自分の目的や時間に合わせて選べます。

乗車特典として、どうぶつ“発見”カードの5枚セットも用意されています。ランダム配布で全40種類、レアカードもあると記載されていました。見る体験のあとに、手元に残る小さな記録があるのは、子どもにとってもうれしい仕掛けになりそうです。

ガイドのコンテンツ、クリエイティブ、コンセプトは株式会社on the tripが担当しています。同社は音声ガイド制作の仕組みとして、制作費を受け取って制作する形に加え、制作費を無料で実施し、オーディオガイドを含めた料金設定の差額収益を施設側とシェアする例も紹介しています。体験を作り、続けるための収益設計が、音声ガイドの裏側にあります。

予約先として名前が出てくるTerravieは、動物園・水族館をきっかけに、人と生き物が出会い、つながることを掲げるオンラインプラットフォームとして紹介されています。「ディスカバリーケニア号乗車チケット付き入園券」はTerravieのみで扱うともされています。

サファリワールドの道筋そのものは変わらなくても、音が加わると、見つけ方が変わります。昼のひみつ、夜のいのちのつながり、無料便と有料ガイド便。白浜のケニア号は、ひとつの乗りもののまま、選べる体験へ少し広がったのだと思います。