床がコントローラーになる。QuizKnockのbatonが「DIDIM」を学校へつなぐまで

足で踏む、跳んで避ける。床に映った映像に反応して遊べるデジタル運動プラットフォーム「DIDIM」が、日本の教育現場に向けて“窓口”と“検証の場”を持ちはじめた。

床に投影された映像を、足で踏んだり跳んで避けたりすると、センサーが動きを捉えて返事をする——デジタル運動プラットフォーム「DIDIM(ディディム)」は、そんな仕組みの機器です。このDIDIMについて、QuizKnockを運営する株式会社batonが日本国内の正規販売代理店として動き、サービスサイト(https://didim.baton8.com/)も公開されています。地味だけど、こういう「どこに聞けばいいかが見える」変化、現場ではじわっと助かるやつです。

まずDIDIM自体の輪郭から。開発したのはTwohands Interactive社(本社:韓国)。プロジェクションマッピングで床面に映し出された映像に対して、踏む・跳ぶといった動きがそのまま入力になり、センサーが反応します。ボタン操作というより、体の動きがそのまま“コントローラー”になる感じ。ここが今回いちばん好きなポイントでした。

搭載コンテンツは、エンターテインメントゲームだけでなく、頭の体操、体力トレーニングなど多種多様とされています。遊びと運動のあいだを行き来する道具、という立ち位置が見えてきます。

そのDIDIMを、日本の教育現場へどうつなぐか。株式会社batonは「遊ぶように学ぶ世界」を掲げ、エンターテインメントと教育をかけあわせたサービス運営やコンテンツ制作を行う会社です。QuizKnockについては、クイズ王・伊沢拓司が中心となって運営するメディアで、「楽しいから始まる学び」をコンセプトに記事や動画を毎日発信している、と説明されています。YouTubeのチャンネル登録者は260万人を突破。さらに、2026年10月2日に10周年を迎えるとも記載があります。

“知”の領域で「楽しい」を組み立ててきたチームが、今度は“体”のほうに橋をかけにいく。そう捉えると、DIDIMの話が少し立体的に見えてきます。

batonはDIDIMの日本国内正規販売代理店として、教育現場への導入を進める立場になりました。対象として挙げられているのは、保育園、幼稚園、小学校、中学校、放課後等デイサービス等。サービスサイト(https://didim.baton8.com/)には、「株式会社batonは2026年1月より、DIDIMおよびDIDIMminiの国内正規販売代理店となりました」とも書かれています。

背景として示されている数字もあります。batonは2025年10月、体育が苦手な小中学生を子に持つ親169名を対象にアンケートを実施。「体育が嫌い・どちらかといえば嫌い」という子どものうち、60%以上が「スポーツ系アミューズメント施設や体を動かすゲームは好き」と回答した、とされています。運動が苦手でも、“評価される感じ”とは別の場所なら体を動かせる——この感覚、思い当たる人も多いかもしれません。

もう一つの動きが、大学との連携です。batonは2026年1月に札幌国際大学と包括連携協定を締結し、同大学の安井政樹准教授と「学校現場におけるDIDIM活用」に関する共同研究を始めたとされています。安井准教授は、北海道・札幌市の小学校で20年間教諭を務め、2022年4月から現職。研究テーマとして、ICTを活用した教育の充実(子ども支援・教員支援)と、インクルーシブ教育による共生社会の実現が挙げられています。共同研究の詳細として、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000324.000012901.html も示されています。

実証実験の予定も、土地の違いがはっきりしていておもしろい。2025年12月1日〜2026年1月28日は大阪市立今里小学校の5年生を対象に、2026年2月6日〜3月31日は札幌市立宮の森中学校の生徒を対象に実施するとされています。目的として触れられているのは、冬の豪雪地域で外での運動が限られる環境下における、DIDIMの活用方法や効果の検証です。

一方で、今見えている情報だけだと、現場目線で気になる“運用の輪郭”はまだ薄い。価格や導入費用、必要なスペースや機材、申込手順(購入かリースかなど)、実証実験の評価指標や測定方法、成果の公表時期といった点は、少なくとも今回の範囲では具体的に読み取れません。結局のところ、授業や放課後の時間の中でどう回るかは、機器そのものより「設計」と「人手」に左右されることも多いので。

問い合わせ先としては、イノベーション推進チーム(innovation@baton8.com)が記載されています。

黒板や画面の前だと固くなる子が、床に映ったものにはすっと足を出せることがある。DIDIMの話を追っていて残ったのは、運動を“得意・不得意”で切り分ける前に、参加の入口をどうつくるかという視点でした。大阪の小5と、札幌の中学生。同じ道具を前にしたとき、どんな反応が返ってくるのか。その手触りが、いちばん気になります。

出典

  • 原題:QuizKnockを運営する株式会社batonがデジタル運動プラットフォーム「DIDIM(ディディム)」の日本国内正規販売代理店として本格始動 サービスサイトを公開しました | 株式会社batonのプレスリリース
  • URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000333.000012901.html

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