2022年5月25日(日本時間)にWordPressのバージョンが6.0にアップデートされました。今回の変更では大きなトラブルもなく更新ができている方が多いようです。
WordPressというのはホームページを管理する仕組みの1つで、ペライチやWixのようにHTMLを書かなくてもホームページを作ることができるツールです。
世界では最も利用されているツールなので「WordPress(ワードプレス)」という言葉を聞いたことがあるという方は少なからずいらっしゃるかと思います。
この記事では、女性起業家さんにも根強い人気を持っているWordPressについて2022年度に知っておくべき項目を、5つの見出しに分けて書いていきます。
なぜWordPressが人気なのか
まず、ペライチやWixなどの便利なホームページ制作サービスがあったり、LIt.linkのようなプロフィールまとめサイトがある中で「もう、WordPressを使う必要がない」という意見を時々聞きます。ぼく自身もその通りだと思います。
「ホームページを作りたいだけ」であれば、WordPressを使う必要性や重要性はあまりないです。ペライチやWixなどを使ってテンプレートで素早くホームページを作る方がいいケースは年々増えています。
また、スマートフォンしか持っていない人が増えていっている時代の中で、パソコンで見やすいホームページにする価値も年々薄れていっています。
これまではデザイン性や、スクロールした時のエフェクトなどで優位性を出していたものが、スマートフォンになると”読み込み速度”との勝負になるので、よりシンプルなホームページが求められます。となると、こだわったデザインにするよりもシンプルに情報を一覧できるようなLit.linkなどが人気になるのも必然です。
それでも、WordPressは根強い人気を持っています。
2022年1月の時点で、世界でのシェアは半分以上となっています。
日本でのシェア、83.8%となっていて 圧倒的にWordPressが使われているのがわかります。
参考サイト:
「みんなが使っているからいい」わけではない
誤解されないように書いておくと、「みんなが使ってるんだから、黙って使っておきましょう」ということを書くつもりは毛頭ないです。
ただ、これだけ「PCでのホームページ」の価値が下がっていく中で、WordPressだけが人気なのは理由があるはずです。そこを一緒に紐解いていきましょう。
WordPressは子どもが集まる公園のような世界
ぼくは、WordPressを触り始めて15年くらいになります。テーマをゼロから開発したり、プラグインを開発したりしてきました。
その中で、勉強のために書籍を購入したり、制作のためにサーバーをレンタルしたりテーマやプラグインを購入したりはしましたが、WordPress本体にかけた費用は0円です。
これをぼくは、「子どもが公園で遊ぶようなもの」という感覚を持っています。
子ども同士は公園に集まって、お金を持っていない中でもいろんな遊びをしていく。そこにあるもので使えるものを使ってみたり、時には新しい遊びを開発してみたり。
そんな中で、中にはお金がかかるトレーディングカードを持っていたりして「いいなぁ。それかっこいいなぁ」とみんなから注目を浴びたりします。
けれども、入場するのにお金が必要ということもなければ、30日間は無料で遊べるけれど2ヶ月目からは有料になります ということもありません。
その開かれた世界(オープンソース)であるということが、WordPressの1番の強みであり、特徴です。
けれど、こう思う方は多いと思うんです。
「商業施設の中にある有料スペースの方が、清潔で気軽」
「映画館の方がゆっくり座れるし快適」
そういう意見も十分理解できます。ペライチやWixのような有料サービス(一部無料もありますが)を活用する方が快適で便利で素早く素敵なホームページを作ることができます。
ここで、視点の違いに気づいた方もいるかもしれません。
WordPressは、子どもたちが自分達で考えながら遊びを作る公園で、
ペライチやWixは、お金を払って少しでも快適に楽しく過ごす場所。
そう考えると、視点としては「ホームページを作っているのか、ホームページ制作というサービスを受けているのか」という違いになってきます。
ぼくは、この視点に気づいた上で ペライチやWixを使う方がいいと思うし、この視点を理解した上でWordPressを扱う方がいいと思うのです。
ホームページ制作サービスとしてのペライチやWix
ペライチやWixは「ホームページ制作ツール」ではなく、「ホームページ制作をより快適にするためのサービス」と定義づける方がイメージに近いと思うのです。そのサービスを受けるために対価を支払います。なので、ペライチやWixで制作をしているときは”サービスを受けるお客様”の立場なので運営に意見はできるものの 運営のルールを変えることはできません。
例えばバーガーショップにハンバーガーを買いに来て、厨房で熱心にバーガーを作っている青年に「ねぇトム。思ったんだけど、こういうバーガーを作る方が素敵じゃないかしら」と伝えたところで、「ソウデスネ」しか返ってこないんです。
ペライチやWixを使っていて、さまざまな便利なツールをサービスとして提供してくれている中で、こんなことを持ったことがある方もいるかもしれません。
「その機能も素敵だけれど、自分のサービスではもうちょっとこうしたいんだ」
それが、機能の応用で実現できる場合もありますが、多くの場合は一律のサービスを提供されるので実現することができません。
けれど、WordPressではあなたの声に耳を貸してくれます。中には「OK、そのバーガーぼくも気に入ったよ。すぐ作るから2分だけ待っていてくれ」と、作ってくれる開発者もいるかもしれません。(ぼくは、時々作っていたりします)
WordPressを扱うときに「自分はツールを使っているのか、サービスを受けているのか」を意識すると、さらにホームページ制作が楽しくなるはずです。
WordPressはコンテンツに集中するように変化している
2022年1月25日にリリースされたWordPress5.9から、フルサイト編集(Full Site Editing)という機能が含まれました。
要は、「WordPressって中学生の時はブログばっかり書いてるやつだったけど、大学に入って髪型とかコーディネートとか垢抜けたらしいぜ」ということです(違)
WordPressは、元々はブログを書くためのツールだったんですが、年々デザインが触れるようになっていって、ついに「サイト全体、編集できるよ」というところまで来たというのがフルサイト編集機能です。WixとかではすでにWordPressよりもはるかに進んだフルサイト機能があるので、特段WordPressのフルサイト機能が優れているというわけではありません。
ただ、「そっちの方向に向かおうとしている」という開発コミュニティの動きは興味深い点です。
そして何よりも大事な点は、フルサイト編集(Full Site Editing)はドラゴンクエスト3のガルナの塔で入手した「さとりのしょ」を使って魔法使いが賢者に転職するようなものです(違)
「今までは言葉の魔法でめっちゃSEO攻撃してたのに、スタイルを変えたりとかヘッダーを変えたりとかのデザイン防御魔法もできるようになるの?」ということです。
中途半端になんでもできるようになるということではなく、元々ライティングに圧倒的に強いツールが、デザインもできるように変化していっているというのが今の状態だとぼくは感じています。
それを、サービスとして見るのではなく、道具として捉える人が、WordPressを使うのに向いているのではないかなと思います。
WordPressのセキュリティとバックアップは必須
最後に、2022年度において改めて感じていることは「WordPressのセキュリティとバックアップ対応は必須」ということです。
ぼく自身はブライダル関連事業のセキュリティコンサルもさせていただいてるんですが、サイバー攻撃が加速する中で年々それを感じます。
これはWordPressに限ったことではないんですが、国内の使用割合が8割を超えている中では「WordPressばかり狙われる」となるのは自明のことです。
例えば同じ仕様の住宅が並んでいたとして、その中の1軒の裏口に鍵がかかっていない勝手口があったとして、たまたま通りかかった泥棒さんがそこから侵入できたとしたら、次はこう考えるはずです。
「あれ・・?隣の家も、勝手口あるんじゃね?」
こうして、絨毯爆撃のように狙われるのがWordPressの宿命です。
なので内側から鍵をすることはもちろん、「お隣の山口さんの家、裏口から侵入されたらしいわよ」という噂話を町内で聞いたとしたら、早めにアップデートをして同じ手口が通用しないようにする必要があります。
その時に起こるのは「アップデートしたら動かなくなったんですけど?」問題です。
これは、裏口にある勝手口と同じだと思うんです。
今までは裏の勝手口から出入りできてたんだけど、勝手口から出入りできないように大きなポリバケツを置いたら、出入りできなくなったんですけど? というようなことが起こります。
そして多くの場合は「WordPressが壊れた」と思います。勝手口から出入りできなくなっただけなんですが、家全体が壊れて中に入れないと感じるわけです。
住宅のように目に見える場合は「あぁ、なんだ。ポリバケツを置いたからか」とわかるんですが、プログラムのように目に見えづらいものでは「なんか、急に裏口から出られなくなった!家が壊れたのかも!」となるわけです。正直、焦ります。ぼくでも焦ります。
けれど、原因は「セキュリティ対応や、より便利な環境のために、今までとは違う状況になった」ということなんです。それを理解すれば対策の順序としてはイメージしやすいです。
ここは、できればプロに頼んだ方がいい部分だと思いますが、少なくともこまめにWordPressやWordPressのプラグインをアップデートしていけば大きなトラブルになることは稀です。
WordPressは道具
2022年度になって、WordPressのプラグイン開発をしていて改めて感じるのは「WordPressは、道具である」ということです。
前半でも書いたように、「ホームページ制作を便利にするサービス」を受けるのなら、WordPressを選ぶ必要はありません。
はるかに便利なツールが多くある時代になったし、そのほうが快適な場合が多いです。
本当に、無理にWordPressを選ぶ必要はなくなりましたね。サクッとLPを作るならペライチが最強だったりします。
けれど真剣に集客やSEOに向き合うと、”些細なことかもしれないけれど、これは結構大事”という部分に直面する場合があります。そうなった時に、初めてWordPressを選択肢に挙げればいいと思います。
WordPressでホームページを作るとなると、お金が膨大にかかるというイメージを持っている方も少なくないと思いますが、ファーストステージのような「ある程度は自分でやる」ということをサポートするプランを選べば、15万円くらいでWordPressのホームページを持つこともできます。
長くなりましたが、2022年度にぼくが感じたWordPressへの向き合い方の話でした。