成分を確かめてから選ぶ感覚が、食品だけじゃなく暮らしの道具にも降りてきた。福岡拠点の無添加・国産お香「CRYSTAL INSENCE」は、累計出荷25万本、SNS総フォロワー4万人超、累計注文4,000箱といった数字を掲げている(いずれも集計時点は記載なし)。その広がり方を、いまの生活者の気分から眺めてみる。
福岡県を拠点とする無添加・国産お香ブランド「CRYSTAL INSENCE(クリスタルインセンス)」が、累計出荷本数25万本、SNS総フォロワー4万人超、累計注文箱数4,000箱に到達したとしている。広告出稿はしていないとも記しており、口コミを起点にInstagramやThreadsで広がった、という筋立てだ。香りものが“雰囲気”だけで選ばれにくくなってきた今、どんな要素が言葉になって伝わっていったのかを整理する。

最近、日用品でも「何が入っているか」を確かめてから手に取る人が増えた、と言われる。PR文面では、矢野経済研究所のデータとしてウェルネス関連市場が年5%超で拡大していること、成分への意識がライフスタイル領域にも広がっていることが引かれていた。たしかに、気分や体調で“合う・合わない”が出やすいものほど、選ぶときの手がかりがほしくなる。
CRYSTAL INSENCEが前に出しているのは、香りの物語というより「避けたいものの一覧」に近い。化学香料、着色料、防腐剤、燃焼剤、凝固剤、アロマオイルの「6つの不使用」を掲げ、合成香料・化学染料は使わないとしている。正解かどうかの話ではなくて、こういうの、地味に助かる。自分がどこで躊躇しやすいかを、買う前に言語化しやすくなるからだ。

素材とつくり方も、場所がはっきりしている。九州を中心に国産の天然素材のみを使うとしていて、素材には国産椨粉(たぶこ)も挙げられている(入手困難との記載)。福岡の工房で1本1本手作りし、少量生産の体制を続けているという。2024年に「天然素材のみで作るお香」として生まれた、と年も示されていた。
ここで、私の“好きポイント”をひとつだけ。香りは目に見えないけれど、このお香は燃えたあとに「見える余韻」が残るらしい。国産の天然水晶パウダーをお香に練り込み、山口県産の希少な水晶パウダーを全商品に使っている、と書かれている。燃え尽きた灰の中に水晶の粒が残る体験があるともされ、その様子がSNSで共有されて話題になった、という流れだ。匂いそのものは画面越しに渡せないけれど、燃えたあとの“残り方”なら共有できる。拡散の仕方として、わかりやすい。

数字面では、累計出荷25万本、SNS総フォロワー4万人超、累計注文4,000箱に到達したとされている(いずれも集計時点は記載されていない)。また、ECストアのレビューについては「81件中79件が最高評価」との記載がある一方で、ストア名、集計期間、最高評価の定義は本文内では分からない。とはいえ、UGC(ユーザー投稿)が自然に広がったことを成長の理由として挙げている点は、さきほどの「説明しやすさ」と「共有しやすさ」を合わせて考えると、筋が通って見える。
香りの周辺も、少しずつ増えている。スティック型のお香は「九州の森」「パロサント」「ホワイトセージ」などを挙げ、公式サイトでは香りの選択肢として「パロサント・ホワイトセージ・八女杉」の3つにも触れている。さらに2026年2月からは、スプレータイプの「リチュアルエッセンス」ムーンシリーズがラインに加わった。有田焼の職人と協業したお香の受け皿、瞑想・集中・睡眠など目的別に設計したというオリジナル音楽のYouTube 24時間ライブ配信にも言及がある。お香単体というより、「整える時間」を丸ごと組み立てようとしている感じがする。
今後は、2026年春に季節限定の新作フレグランスを予定し、卸売・法人向け取引(ホテル・旅館・ヨガスタジオ等)の拡大、EC販路の拡充も方針として挙げている。個人の部屋の中で完結しがちな香りが、滞在や共有空間にも入っていく——そのとき、何を使っていて、どこで、どう作っているかが最初から書かれていることは、思った以上に効いてくるのかもしれない。
火をつけて、香りが立って、消える。そのあとに残るのは、ふつうは記憶だけだ。でもこのブランドの場合、成分の書き方や産地の示し方に加えて、灰の中に粒が残るという“見える余韻”がある。見えないものを選ぶときほど、手元に残る手がかりがあると安心する——その感覚に、今の空気がちょっと映っている。
出典
- 原題:無添加・国産お香「CRYSTAL INSENCE(クリスタルインセンス)」、累計25万本突破。広告費ゼロ・SNS口コミだけで急成長 | キャンプ女子株式会社のプレスリリース
- URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000046252.html





