ドラマ『ネタジョ』は、笑いをメモする手帳が主役みたいだった

実在の漫才師が本人役で現れて、劇中では「本気ネタ」も見られるという少し変わった深夜ドラマ。なのに私がいちばん惹かれたのは、主人公がネタをほどいていく“手帳”の存在だった。

家のことも仕事の段取りも一回片づけて、やっと座れた深夜。ぼんやり何かを見ているはずなのに、気づいたら頭の中が少し整っている——たまに、そんな時間があります。4月30日(木)深夜からMBSのドラマフィル枠で見られるようになる『ネタジョ』は、そのタイプの夜に似合いそうな気配。

『ネタジョ』は、主人公・影山幸子の呼び名でもあります。演じるのは辻󠄀凪子。幸子は漫才の構造や手法にまで踏み込んで、ネタを見ては書き留める“分析好き”の人。——で、ここが私の「好きポイント」なんですが、この作品の手帳って、ただの小道具というより、迷子防止の道しるべみたいに見えるんです。

おもしろかったところを「おもしろかった」で終わらせない。どこで笑ったのか、なぜ引っかかったのかを、ページの余白にいったん預けておく。こういうの、地味に助かるんですよね。感情を冷やすための分析じゃなくて、散らかったままの気持ちに“置き場所”を作る感じ。

幸子がそこまでお笑いにのめり込む背景には、母の存在が絡みます。幼い自分を置いて蒸発した母が遺したのが、「オール阪神・巨人」の漫才テープだった、という設定。軽いものとして流れていきがちな笑いが、誰かの記憶として残ってしまう——その重みを、テープという少し古風な媒体が連れてくるのが切ない。

そしてこのドラマ、現役の漫才師たちが本人役で次々登場します。名前が挙がっているのは、NON STYLE、ミルクボーイ、バッテリィズ、ザ・ぼんち、エバース、金属バット、チュートリアル、オール阪神・巨人(登場回順)。さらに劇中で「本気ネタ」も披露されるそうで、作り物の物語に“現場の熱”がすっと差し込まれる瞬間がありそうです。

幸子のそばには喫茶店のマスターもいて、板尾創路が演じます。深夜ドラマの喫茶店って、それだけで呼吸が整うことがある。理解者という言葉で片づけたくないけれど、幸子が手帳に向かう時間を、ちゃんと受け止めてくれる大人がいるのは心強い設定です。

共演は、のせりん/中山莉子(私立恵比寿中学)/太田駿静(OCTPATH)/伊藤修子/野村宏伸。監督は浦井崇、脚本は古場俊明、音楽は吉川清之。

放送は、MBSが4月30日(木)より毎週木曜 深夜1:29〜。テレビ神奈川は同日より毎週木曜 深夜1:00〜。テレ玉は5月4日(月)より毎週月曜 深夜0:00〜、群馬テレビは5月5日(火)より毎週火曜 深夜0:30〜、とちテレは5月6日(水)より毎週水曜 23:30〜、チバテレは5月7日(木)より毎週木曜 23:00〜。
放送後はTVerで見逃しも追えて、Netflixでは見放題で独占配信になるとのこと。

笑いをほどこうとすると、ほどききれないものに触れてしまうことがある。テープに残った声とか、喫茶店の灯りとか、書きかけのページの余白とか。『ネタジョ』の手帳は、その全部を抱え込むための薄い器に見えました。深夜にひと息つきたい日に、そっと開いてみたくなるかもしれません。

出典

  • 原題:実在の人気漫才師が本人役で続々登場!前代未聞の“漫才解体新書”ドラマ『ネタジョ』MBSドラマフィル枠にて4月30日(木)放送スタート | 株式会社NTTドコモ・スタジオ&ライブのプレスリリース
  • URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000247.000130377.html