NHK〜Netflixで追いかけた物語の余韻を、今度はホールで。TVアニメ『ピアノの森』でパン・ウェイの演奏を担ったピアニスト、NiuNiu(ニュウニュウ)が天神のFFGホールに来る。
夜、家のことがひと段落して、ようやく自分の耳が戻ってくる時間がある。Netflixで『ピアノの森』を流していた人なら、画面越しに聴いていた“あの音”の手触りが、妙に記憶に残っているかもしれない。その音の輪郭を、ホールの空気の中で確かめるようなコンサートが、来年の夏に福岡で行われる。

『ピアノの森』は、一色まことの青年漫画から広がった物語だ。2007年にはアニメ化され、第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞したという肩書きもある。2018〜19年にはNHKで放送され、いまもNetflixなどで配信中。作品の寿命が長いぶん、生活のどこかの層に静かに染み込んでいて、ふとした拍子に思い出される。
その“思い出され方”の中に、演奏という芯があるのが、この作品のおもしろさだと思う。登場人物の感情や関係が進むところで、ピアノが話の速度を変える。耳が先に反応して、あとから場面が追いついてくるような瞬間がある。物語に引っ張られて聴いた音は、音楽としての自立もちゃんと持っている。

今回福岡に来るのは、ピアニストのニュウニュウ(NiuNiu)。TVアニメ『ピアノの森』では、天才中国人ピアニスト=パン・ウェイの演奏を担った“中の人”でもある。1997年中国生まれで、史上最年少の18歳で上海音楽学院に入学し、2018年には名門ジュリアード音楽院を卒業。2023年には幅広い時代の作曲家の作品と自作曲を収めた「Lifetime」をリリースし、2024年4月には「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、交響曲第6番《悲愴》」のライブ録音CDも出している。
プログラムは“耳に残るショパン”が中心に置かれている。予定曲目として挙がるのは「夜想曲」「小犬のワルツ」「舟歌」など。そこにリストの「ラ・カンパネラ」が差し込まれ、モーツァルトのピアノソナタも並ぶ。クラシックに詳しいかどうかより、どこかで聴いたことのある旋律や、名前だけは知っている曲が混ざる感じが、気持ちをかたくしない。

福岡公演は昨年に続いて2回目で、昨年は完売したという。街の大きなイベントは、迷っているうちにふいに終わることがあるけれど、この“昨年は完売”という事実だけで、そんな現実味がすっと立ち上がる。特別な日に仕立てるというより、ちゃんと予定表に入ってくる種類の音楽体験として語れるのがいい。
日時は2026年8月9日(日)、12:30開場で13:00開演。会場はFFGホール(福岡市中央区天神2-13-1)で、天神の真ん中にある。明るい時間の開演は、終演後の余白まで含めて、生活の中に置きやすい。
チケットは一般5,000円、小学生2,500円(いずれも税込)。先行販売は3月22日(日)12:00〜3月27日(金)18:00、一般発売は3月28日(土)10:00からで、取扱はイープラス(https://eplus.jp/pianonomori/)。電話での取扱はエムアンドエム(092-751-8257、平日10:00-18:00)もあり、問い合わせはイープラス(050-3185-6449、10:00-18:00、土日祝を含む)。主催はイープラス、共催は西日本新聞社/西日本新聞イベントサービス。
物語の中で鳴っていた音は、物語の外に出ると、同じ曲でも少し別の顔をする。ホールには空気の厚みがあって、息をする音が混ざって、指が鍵盤に落ちる瞬間が身体に届く。画面の向こうの“あの音”が、現実の天神の午後に置かれ直される、その差分がたぶんいちばん贅沢だ。
『ピアノの森』を思い出すのは、結局、音が先で、物語はあとから追いかけてくる。耳が覚えているものは、生活の端っこで意外にしぶとい。天神のホールで鳴るショパンや「ラ・カンパネラ」は、その記憶に、静かに別の輪郭を足していくはずだ。
出典
- 原題:ニュウニュウが登場!イープラスpresents『ピアノの森』ピアノコンサート 2026 NiuNiu/福岡公演 3月28日(土)から一般発売開始 | 株式会社西日本新聞社のプレスリリース
- URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000414.000027592.html




