フレイルは“まだ先”じゃなかった。朝抜き・軽い昼・遅い夜が、サインになる

生産年齢人口が減っていくなかで、会社の側も「フレイル」を言葉にしはじめた。遠い話に見えて、働く日の食べ方そのものとつながっている。

朝はバタバタでコーヒーだけ。昼はサッと食べられるもので済ませて、夜は気づけば遅い時間——この並び、心当たりがある人は多いと思います。最近、この“いつもの食の型”が「フレイル」という言葉とセットで語られる場面が増えてきました。

フレイルは、加齢とともに心身の機能がゆるやかに落ちていき、「健康な状態」と「要介護状態」のあいだにある状態、と説明されています。いきなり倒れるというより、グラデーションで進む。疲れが抜けにくい、動くのが億劫、食が細くなる——こういう小さな変化に名前がつくと、ぼんやりしていた不調が“見えるもの”になります。

背景にあるのは人口のかたちです。生産年齢人口(15〜64歳)は、総務省統計局の人口推計で、1995年の約8,700万人をピークに減少が続いているとされています。人数が減っていく社会では、一人ひとりのコンディションが、そのまま働き方の現実に響きやすい。企業が「健康経営」として健康を語るのも、気合いや自己管理だけでは回りきらない、という感覚と近いのだと思います。

フレイルが進む要因として挙げられているのは、筋肉量の低下、体力の低下、栄養不足などが重なること。もう少し日常側に寄せると、筋肉が落ちる、体力が落ちる、食べる量が減る、バランスが崩れる。体重だけ見ていると見逃しやすいのに、生活のほうはじわっと傾いていくタイプの話です。

ここで、私がいちばん「これ、ちょっと好き」と思ったのが、働く世代の食習慣として例に出される“3点セット”。
「朝食をとらない」「昼食が軽食中心になる」「夕食が遅くなる」。
派手な健康法じゃないのに、やたらリアルで、しかも自分で点検しやすい。こういうの、地味に助かります。

フレイルは、適切な栄養摂取や生活習慣の改善で、予防や改善が可能な状態とも書かれています。食の面では、たんぱく質をしっかり、栄養バランスを整える、食事量を確保することが重要だとされます。ただ、忙しい日々のなかで大事なのは“正解を一発で出す”より、“崩れ方に気づける”ことかもしれません。朝が抜けたら昼で少し足す、昼が軽かったら夜を遅くしすぎない。そんなふうに、食べ方を微調整する余地を残しておく。

なお、株式会社Smile meal(東京都千代田区)は、企業向けに「フレイル予防×食施策セミナー」という形で、フレイルの基本や、働く世代のリスク、筋肉量を保つ食事、たんぱく質の摂り方、忙しくても続けやすい工夫などを管理栄養士が解説する枠を用意したとしています。体組成測定や推定野菜摂取量の測定を含む健康測定会、栄養相談会、料理教室なども手がけ、アンケートや健康データをもとに年間のプログラムを組む、という動きも記されています。

会社が食の話をする、と聞くと最初は少しよそよそしい。でも生産年齢人口が減っていく流れのなかでは、食べ方が「個人の好み」だけでなく、「働き続けるための足場」として扱われていく。朝抜き・軽い昼・遅い夜、といういつもの癖が、ただの習慣ではなく“サイン”として言語化されはじめた——その変化が、静かに効いてきます。

食事は、整った一日にだけ似合うものじゃなくて、乱れた一日の中にも入り込むものです。自分の食の型を、まずは3点チェックみたいに眺めてみる。そこから微調整できる余地がある——「フレイル」が運んでくるのは、そんな現実的な手がかりなのかもしれません。

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